「あなたのオリジナリティーと呼べるものは一体何ですか?」
と言う問が脳裏に聞こえて来たのです。
この曲は随分昔に、あるサークルでオムニバスCD
として出して頂いた曲です。
日本は音楽の飽和状態です。
世界中の音楽を瞬時に家で聴けてしまう時代です。
そのような時代の中で、どのような音楽を作っても
カテゴライズされ、「○○系」「○○の模倣」等の
批評の型に入れられてしまうオチをクリエイターは
十分承知しているのです。
綺麗に整った作曲、編曲はだれでも出来る時代なのです。
それでも毒舌であろうが、お褒めであろうが
批評される事は嬉しく、とてもありがたい事で
自分を洗練、発展させる上で参考になります。
そのような意味で僕にはこの時代に
一つの問としてこの曲を作る必要性があったのです。
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「あなたのオリジナリティーと呼べるものは何ですか?」
と言う事をテーマに幾つかの条件の元で作りました。
1、オリジナルの楽器を使う。
2、譜面上に綺麗に整って書き記せ得るものにしない。
3、考えず即興で作る。修正しない。
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この曲に使われているメロディーの音色は
イタドリと言う植物の茎を乾燥させ自作した
笛を使っています。
その笛で何も考えずに即興で一発録音を行いました。
いわゆる絵画で言う所のドローイングであり、
ラフスケッチです。
ジャズのフリープレイですら、もはや形式化され
「ジャズらしい型」等の批評が聴こえてきます。
ドローイングのような即興的に出力された
物の中には混沌とした色んな要素が
詰まっています。
その中から「使えるもの」をピックアップし、
作品のモチーフとして綺麗に整えて
制作する事を習慣のように行っていると、
どうしても形式的な作品になりがちなのです。
以下は余談で音楽と違うかもしれませんが
サルヴァドール・ダリは「絵が上手いと画家として
長生きできない」という意味の言葉を残しましたが、
完璧な写実に向かうと個性が消え、画家の存在価値、
作家性が無くなると言いたかったのではと
勝手に解釈しています。(もはや写真で足る等の批評)
建築家の安藤忠雄さんは「未完成な状態の方が
作品として面白い」と言うような話をされていた事を
記憶しています。綺麗に塗装された外壁より
露骨なコンクリートに魅力を感じる方が多いのも
その様な理由かもしれません。
模倣が溢れる今の時代に
オリジナリティーとは何か?
常に念頭にある議題です。